鳥居をくぐり、ふと見ると、
「あれは・・・」
社務所だろうか、明かりが灯る場所がある。
石畳を歩き、近づいてみる。
入り口は、開けられている。
少し離れた所に立ち止まる。
「な、なんなんだ・・・」
奥の方と手前、2か所にあるあれは?
なんて表現したらいいんだろう?
巨大なわらづとのような物体が、3個ずつ合計6個。それに、直径4、50センチはありそうな縄状の物が、地上に落ちた竜がのたうつように置かれている。
10人近くいる人たちは、奥の方に集まっている。
バラバラに置かれた3個の巨大わらづとが、数人がかりで抱えられ隙間なく並べられる。
それぞれの端が、1つに束ねられてゆく。
だれも言葉を発しない。
その作業は、黙々と行われてゆく。
反対側の端も束ねられると、とてもシンプルな舟が出現した。
「これ・・・、お精霊舟だ。ここで、こうして、舟を編むのか」
見たくてたまらなかった舟編みの作業を、いま、あたしは、目の当たりにしている!
肌を粟立て、立ちつくしている間にも、作業は進む。
舟を形成するわらづとを繋ぐように、側面から竹ひごのようなものが差し込まれてゆく。
作業をする人たちから、ここまでに至る作業の手順や様子、いろんな話を聞いてみたいが、そんな雰囲気じゃない。
厳かというか、神聖というか、そんな空気が満ちている。