うろうろと、どれだけ歩き回っただろう。
家を出て神社に到着するまでは、どれくらいかかったのか?
なんてことは、もちろん、把握、していない。
けど、この、帰り道の長さに比べたら、うんと短いような気がする。
「ふーっ、ちょっと休もう」
そうだよ、待てばいいだけだ。
もしかしたら、策作じいさんやしのさんと遭遇できるかもしれないし。
できなかったとしても、朝が来て明るくなれば、なんとかなるだろう。
と、疲れて、座り込んだ時、だった。
感じる!
背後に忍び寄る、怪しい気配。
焦るな来月。
自分で自分に言い聞かす。
すでに焦ってはいるけれど、これ以上、焦るな来月。
これは、どういう状況だ?
と屋外の場合、考えている余裕はない。
立ち上がり、構えの体勢をとる。
「この、」
痴漢! 叫ばなくて、よかった!
目の前にいたのは、賢作さんだ。
「こんばんは、安達ケ原さん」
こんな、知らない場所にまで現れるなんて、さすがユーレイ、神出鬼没。
「こんばんは。あの、もしかして、あたしを迎えに来てくれたんですか?」
「迎えに?」
「はい。・・・あれっ? ここは・・・」
佐熊山家の門の前、だよ。
「安達ケ原さんも、星を見に? そろそろ飛び始めるころだから」
「あ、はい」
いいよね? まるきりの嘘じゃない。
「一緒に、見る?」
「はい! 見ます!」