ユーレイだとわかっているのに、怖くはなかった。
はやる心のままに、立ち上がる。
しかし、
「ほっとき!」策作じいさんが首をふる。
「ほっとき?」あたしは、首を、傾ける。
「ほうや。そっとしといたり。それより、スイカもう食べんのなら、行こか」
って! それよりって、ユーレイよりスイカ重視なんだ・・・。
「行くんですか、あの人ほっぽっといて」
「ええから、気にすな。ほれ、早う来い」
せかされて、後ろ髪、引かれながらも、ここに来た。
家を出て、策作じいさんについて歩きながら、考えていた。
この人は、なぜ、こんなに、平然としてるんだろう?
あたしは、これでも、かなり驚いている。
彼の岸からお盆に帰ってきた人たちと出会ったり見かけたりするのは、今回が初めてだ。