「おーい、キツツキ、大丈夫かぁ?」
「はい。そこそこ大丈夫です」
「ほーか。よかったなー」
「はい。ほんの2メートルほど、落ちただけですから」
「ほな、探そか。今日は、川の水、少ないけど、油断したらあかんで」
「はい」
「キツツキは、川、入るんは初めてか?」
「はい。えっ? 入るんですか、あたし」
「水の流れが速いさかい、膝から上のとこへは、行ったらあかんで。こけてしりもちついてしもたら、起き上がられんようになるからな。ああ、それと、川のヒスイは、海より大きいけどな、」
やはり、白っぽい石を探せと、指示が飛ぶ。
なるほど、大きな、白い石か。
目を皿にして、川底を、睨む。
と、わぁーお!
清冽な流れの中、見つけた、白い石。
サンダルのまま、突撃だ。
冷たい水に、手をつっこんで、石を持ち上げようとするが、上がらない。
あたしの発見したヒスイを川底に繋ぎ止めようとするように重なりあう石たちが、じゃまをする。
「よっしゃあ!」
まずは周りの石たちを動かそう、と作業を始める。が、上からのぞき込んでいるときは、簡単に動かせそうなのに、思った以上に困難だ。周りの石たちにも、また、重なり合ってじゃまをする石がある。じゃまの連鎖だ。
ようやくそれらをどかせはしたが、白い石を、今度は、川底の土が離さない。
それでも、じわじわ頑張って、
「うんとこしょっ!」
持ち上げてみれば、それは、ただの白い石だった・・・。
なんてことを、何度か繰り返し、川もなかなか手ごわいぞ、と疲れたあたしは座り込む。