結局、お宝は、埋め戻した。
たとえ自分で見つけても、ここまで大きな石になると、持っては帰れない。
でも、策作じいさんもあたしも、大満足だ。
あたしとしては、自分で見つけられなかったこと、それは、ちょっぴり残念だけど、あんなきれいな石に、お目にかかれただけで心が満ちる。
♪ 橋を渡って 草むらの
♪ 奥の細道 下って行けば
♪ 風にゆらゆら 柳の木
♪ 三つ目岩の 先の先
♪ 三角石の その下に
♪ 大きなカワセミ 棲んでいる
いつか、また、見たくなった時、埋めた場所を覚えておくためにと、策作じいさんが即興で作った歌だ。
ダサくてヘンに古臭いメロディーに、センスのない歌詞。
かなり、いや、もの凄くダサい歌だけど、妙に耳に残る。
いやいや、もの凄くダサい歌だからこそ、耳に残るのか?
あたしも、すぐに、歌えるようになってしまったのだから。
歌いながら帰る道は、行よりも近かった。