庭の見える窓辺の陽だまりで、おじいさんはくり返し読みました。
目じりに横じわをつくり、口元をほころばせています。
「こんなに気持ちが良いことはない」
小鳥の声が耳に入ってきました。
外に目をやると、声の主が、とっくに冬支度を終えた木にとまっているのが見えました。
小鳥はしきりに小さな頭を動かし、体の向きを細かく変え、尾を上下させて鳴いています。
――と、ほんのわずかのあいだに体に力をためた小鳥は、ぱっと空へ飛び立ってゆきました。
それを見届けたおじいさんは、新しい宝物となった手紙を持って、陽だまりをあとにしました。