つなぐ(2/10)

文・藤 紫子  

外は、小学生や中学生、通勤の人が行き来しています。
車は列をなして、信号が青になるのを待っています。
「9時32分の快速電車に乗れそうだな」
懐中時計でじこくをたしかめると、たくさんの人に後ろから追いぬかれながら、できるだけ急ぎ足で駅に向かいました。

券売機で切符を買い、ホームにたどり着いたときには、電車がやってくる十分前になっていました。
なくさないように、切符を上着の右がわの内ポケットにしまうと、ベンチでひと休みしました。

放送がかかり、快速電車がやってきました。
「席が空いておると良いが」

藤 紫子 について

(ふじのゆかりこ) 札幌市生まれ。札幌市在住。季節風会員。小樽絵本・児童文学研究センター正会員。12年ほど町の図書館員をしていました。子ども向けのお話と好き勝手な詩(https://ameblo.jp/savetheearthgardian/entry-12601778794.html)を書いています。自然・ドライブ・博物館・棟方志功氏の作品・源氏物語・本(本なら問題集でも!)が好き。