ふしぎなぴりーこぱん(5/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

四人は手をつないで、わになった。
そしてそのままクルクル回る。クルクル回って、ゆっくり雲の中を通って、雲の上に出た。
空の上にはさえぎるものが何もないから、すごーく広い。

「ここでおいかけっこしたら楽しそうだね!」
とあんこちゃんが言うと、キャンディチーズくんが答えた。
「雲の中にかくれるところいっぱいあるから、かくれんぼもできるよ」
ハートちゃんも言った。
「体がかるくなってるから、雲の上でおひるねもできるし」
「いいねえ! ぜんぶやろう!」
ぴりーこぱんが、クルリといっかいてんしながら言った。

おいかけっこすると、風がとっても気持ちよかったし、雲の中でのかくれんぼはとってもドキドキした。
つかれたら、雲のふとんでおひるねした。
ふわふわの雲のおふとんは、かるくてあたたかかった。
あんこちゃんたちは、ずーっと、ずーっと、ずーっと・・・あそんでいた。

学校に行かなくちゃならないことも、ねむったままのお母さんのことも、止まったまんまのせかいのことも、あんこちゃんの頭の中にはなかった。
だって、元のせかいにもどったら、また学校で一人ぼっち。
お友だちと思いっきりあそべる今の方がずっといい。
いくらあそんでてもいいなんて、こんな楽しいことってない。
どうせ時間が止まってるんだもの。元のせかいにもどすのは、いつでもいいよね?

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。