6 バイバイ、ぴりーこぱん
「時間が元にもどらなくなるって、どういうこと?」
あんこちゃんはどきりとした。
しんぞうがドックンドックン、大きな音をたてている。
「せかいがずっとねむったままになる、ってこと」
ぴりーこぱんが答えた。
「そう、あんこちゃんのお父さんとお母さんもずっとねむったまま」
キャンディチーズくんがその後につづけて言った。
あんこちゃんは、たしかに時間がもどらなくてもいいやって、ちょっとだけ思った。
だけど、ずっと時間がもどらなくなるなんて・・・
そうぞうしたら、目の前がまっくらになった。「ハートちゃん、どうして・・・?」
「ぴりーこぱん、そろそろあんこちゃんを元のせかいにもどしてあげよう。長くあそべばあそぶほど、あんこちゃんはわたしたちとのおわかれがつらくなっちゃうよ」
ハートちゃんは、あんこちゃんではなく、ぴりーこぱんに向かって言った。
「・・・やだよ。もっとみんなとあそびたい」
それに答えたのは、ぴりーこぱんではなく、あんこちゃんだった。
「あんこちゃん・・・」
「せっかくハートちゃんにも会えたのに!」
「わたしも、ずっとあんこちゃんとあそんでたい! でも、ダメなの」
あんこちゃんは、こんなひょうじょうのハートちゃんを、見たことがなかった。
「だって、時間が止まったままだったら、あんこちゃんは大人になれないでしょ?」
それから、あんこちゃんの絵とおなじニッコリえがおになって、やさしく言った。
「わたし、あんこちゃんがすてきなおねえさんになるのを見たいんだ」
「ハートちゃん・・・」
あんこちゃんがうごけないでいると、その手を引いて、ぴりーこぱんが言った。
「いそがなきゃ! あんこちゃんのおうちにもどろう」