ふしぎなぴりーこぱん(7/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

お家でおやつを食べながら、あんこちゃんは、ぴりーこぱんとあそんだことを思い出そうとしていた。
今日のできごとだったはずなのに、思い出そうとするとなんだかぼんやりとしか思い出せない。

「ひょっとしてあれ、ゆめだったのかな・・・?」
少しして、お兄ちゃんも帰ってきた。
「おかえり、お兄ちゃん、もしかして学校でねてたりしなかった?」
「げっ、なんでしってんだ?・・・じゃなくて、ねてないし!」
お兄ちゃん、ごまかしきれてない。やっぱり、みんな学校でもねむってたんだ!

そうだ、もしかしてお兄ちゃんなら信じてくれるかも?
「お兄ちゃん、今日わたしね、ぴりーこぱんとあそんだんだよ。ハンバーガーでね、とうがらしが入ってるの。でも人間にへんしんしたり、ハートちゃんをまほうでほんものにしてくれたんだよ!」
「え?えーと、話がざっくりしすぎて、よくわからんのだが・・・」

お兄ちゃんは困った顔をした。やっぱりゆめだったのかも・・・いや、そんなはずはない!
「あのね、そこの時計からぴりーこぱんがとびだしてきたんだよ!」
あんこちゃんはひっしに時計をゆびさした。
言われて時計を見上げたお兄ちゃんが、すっとんきょうな声をあげた。

「あれっ!? 時計の絵がいつもとちがう」
つられて時計を見上げあんこちゃんは、うれしそうな声で言った。
「ぴりーこぱんだ!」
時計のまんなかにかかれているハンバーガーの絵。
そのパンの上に、赤いものがのっている。
「ぴりーこぱんったら、とうがらしをパンの間にはさむのわすれちゃったんだね。ぴりーこぱんらしいや」
あんこちゃんはわらった。
(おわり)

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。