「しゃらくせえ」
どらはちが、めを つりあげ キバを むいた。
「おんな こどもを いじめる やつは、ゆるしちゃ おけませんぜ」
たまさぶろうは、かさと かっぱを そらたかく なげすてると、ヒラリと みを かわし、りょうてを ばってんにした。
そして なにやら じゅもんを となえはじめた。
「ふわり、ふわりの たまさぶろう、あくを こらしめ、せいぎを つらぬく、ネコよんで、ふわりのたまさぶろう とは、おいらのことでぃ」
すると、たまさぶろうの りょうてから、たんぽぽの わたげの ような ものが、ふわり ふわりと とびだしたでは ないか。
これは たまさぶろうが、ねこやまに こもって しゅぎょうを つんだ わざ。
その なも、「ひっさつ わたぼうし」
たまさぶろうの てから どんどん わたげが とびだす。
「ふ、ふ、ふあっくしょーーーーん」
どらはちは、たまりかねて おおきな くしゃみを した。
「ふぉやゃ、たまらん、ほ、ほぼえへろよ」
どらはちは、ずるずると はなみずを すすり、ぼろぼろと なみだを おとしながら にげて いった。