「連絡先は、あっ、山野辺さんだ! ってことは?」
「そう、うちの子」
なるほど。
そうだったのか。
山野辺さんは、このポスターを貼りに来た。
そして、パピが早く見つかるようにと祈りをこめて、このポスターを見つめていたんだろう。
パピは、いま、どうしているだろう・・・。
どこに、身をひそめているのだろう・・・。
お腹を減らして、たおれていないか・・・。
そして、なにより、無事でいるのだろうか?
なんて心配もしながら、山野辺さんは、このポスターを・・・。
ああ、それなら、
「山野辺さん! びっくり返しなんて、している場合じゃないです!」
気がついたら、叫んでた。
けれど、すぐに後悔もした。
「あっ、・・・すみません、大声出して」
車の中から見かけた時の、ちょっとさみし気な背中、思い出したんだ。
山野辺さんは、ほんとうは心配でたまらないけど、それを表に出したくないんだ、きっと。
「ぼく、がんばります!」
「んっ? なにを?」
「パピを、捜します!」
「そうか、ありがとう」
静かにそう言う山野辺さんと、視線が合った。
またまた、ドキッ!
「えっ、いえ、どういたしまして」
「でもな・・・、」
言いかけて、山野辺さんが、言葉をためる。
「はい」
続きを、と促してみたが、「でもな」の後は、聞こえなかった。