そう、だよな。
こんな場合、素性も知らないぼくと話していたら、ぼくのバックには怪しい人物たちがいたって場合、そっと、おいとましたくなっても(声をかけてくれていたとしても、聞こえなかったと思うけど)不思議じゃない。
しかも、ふたりは、遠目にも大男だ。
ぼくより10センチは高そうな、推定185センチの猿神さんと、さらに上背もあり、幅も広い黒岩さん。
遠目でしかも夜目だから、猿神さんの怖い目つきは隠されている。
でも、それは、黒岩さんの穏やかな顔つきも、隠されているってことだ。
ふたりが、探偵と新聞記者だって知ってる人ならともかく、知らない人がずんずん迫りくるあの人たちを、見てしまったら・・・。
どんな想像をふくらませても、仕方がない。
ぼくだって、びびる。
未来からやって来た殺し屋かも、って一瞬考えるかも。
でも、山野辺さんとは、もっと、話したかった。
もっと、一緒にいたかった。
だから、とても、残念だ。
だけど、また会えるような、予感もしてる。
山野辺さんが言いかけた、「でもな・・・」の続きは、きっと、聞ける。
そう信じて、ぼくは、明日から、パピを捜そう。
見つけたら、山野辺さんに電話をかけよう。
連絡先は、このポスターに書いてある!
「なっ、チャッピー」
と声をかけてから、気がついた。
門を出た時は、ぼくひとりだったはず。
いつの間に来てたんだ、チャッピーは?
そんなことを考えながら、ふたりの後についていった。