ぼくたち エージェント!③~サンタクロースはいないのか?(3/6)

文・ひなたのんき  

サンタさんは、クリスマスイブの夜にくる。
ぼくたちは、その日まで、いっしょうけんめい、さくせんを立てた。
「まず、夜、ねないようにしなきゃいけない。つよし、がんばれるか?」
「う~ん・・・がんばる」
つよしは、そう言ったけど、自信がなさそうだ。
何か、ねないための、さくせんを、考えなくちゃ。

「そうだ。コーヒーだ。コーヒーをのめばいいんだ」
うちでは、あさ、ママがコーヒーをいれる。コーヒーをのむと、ねむくならないんだって言ってた。
パパとママは、ぼくたちには、コーヒーをのませてくれない。夜、ねむれなくなるから、ダメだって言う。
でも、今、ぼくたちは、夜、ねないようにしたいから、コーヒーをのめばいい。

「きかいの方は、よく分からないけど、インスタントのやつなら、ぼくにもできる」
ママは、いつもは、コポコポコポって、コーヒーが入るきかいを、つかうんだけど、いそがしい時は、インスタントにする。
コーヒーのこなをコップにいれて、ポットのおゆをいれるだけ。それなら、ぼくにもできる。
「よし。クリスマスイブの夜、ぼくたちは、ママに見つからないように、コーヒーをのむ。それで、ねないで、サンタさんをまつ」
そこまでは、きまった。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。