「ただいま~」
チョコレートを食べて、ぼくたちはおうちにもどった。
「あら、早かったのね」
ママがげんかんに出てきて・・・。
「ちょっと、たかし! どうしたの、そのケガ!?」
ぼくのケガを見て、びっくりしてかけよってきた。
「あのね、テツヤくんが、チョコレート、とったの。作戦で、とりかえしたんだけど、にいちゃん、たたかってケガした」
つよしが、ママ・・・いや、しれいかん・・・やっぱりママでいいや。ママにほうこくした。
「にいちゃん、だぶろーさんみたい。かっこいい!」
「だぶろーさん・・・? ああ、ダブルオーセブンね。パパの好きな・・・。とにかく、ちゃんと洗わないと」
ママはぼくをお風呂につれていった。シャワーで水を出して、ゆっくりとキズにかける。いたい。しみる。
「う、う、う・・・。うわああ~~~~ん」
ぼくは、ここではじめて、泣いた。
キズがいたいのとか、テツヤをおびきよせていたとき、ほんとはこわかったこととか、いろんなことがぐちゃぐちゃになって、大声で泣いた。
「よしよし、弟を守ったのね。がんばったわ!」
ママがやさしく言ってくれて、またいっぱい涙が出た。