アイスクリーム・ゴリラ!(1/5)

文・ひなたのんき  

「アイス、たべようか」
パパが言ったので、レナは、プッとほおをふくらませ、ついでに、プイッとせなかをむけてやりました。

「やあよ。こんなとこで。ゴリラのにおいが、プンプンしてるじゃない。アイスが、ゴリラあじになっちゃう」
「そりゃ、しかたないよ。ゴリラのオリの、まえだもの。だいじょうぶ、おいしいよ」
「いやったら、いや。だから、どうぶつえんなんて、やだっていったのに」

どうぶつえんは、どうぶつのにおいで、いっぱい。
白いバニラアイスが、ちゃいろくなっちゃいそうなにおいで、いっぱい。
ゴリラのにおいがしみついたアイスなんて、ゴリラのあじがするに、きまっています。
「まあまあ、きげんなおして、ウホ。ゴリラあじのアイスも、おいしいよ、ウホホ」
パパったら、ゴリラのまねをして、レナをわらわせようとしています。
「いやだってば!」
いきおいをつけて、ふりかえったら・・・。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。