ソラがくるみの家にきて、明日で2週間だ。
今日もすがすがしく晴れている。庭で画用紙に色をぬるくるみの横に、ソラはねそべっている。何度も向こうに押しやってももどってくるので、くるみもとうとうあきらめた。
「部屋の中にいたらいいのに」
くるみは口をとがらせたが、ソラがいるのにもすっかりなれてしまって、そばによってこられるのも、正直いうとそんなに悪い気分じゃない。くるみがなでてやったら大喜びするんじゃないかと思うけど、それはいつもお父さんやお母さんがやってあげてるから、と、くるみは自分の気持ちにフタをする。
絵がいちだんらくするとのどがかわいていて、くるみはリビングにもどった。すると、さっきまでそろってテレビを見ていたふたりのすがたがない。そして、ろうかでひそひそとお母さんの声がするのに気づく。くるみはそっと近づいた。
「そうね、トライアルの間に、もしくるみの気持ちが変わるならと思ったけど。あれじゃ、くるみにもソラにもかわいそうなことになるかもしれない」
(トライアル? トライアルってなに?)
なにか深刻(しんこく)そうに話している様子に、くるみはドキッとする。しかも話しているのはソラのことだ。お母さんのため息が聞こえた。
「わたしはソラちゃん好きだったから、残念だけど。ソラの行く先は、もうひとつ候補(こうほ)があるんでしょう?」
「ああ、そこもうちと同じ三人家族で、息子さんも犬が好きだっていうから」
残念そうなお父さんの声が続く。
(ソラが、よその家にいく相談だ!)