てんてん坊は、「ふうむ」と、うなり、
「なるほど、これだったか」
と、うなづきました。
「なるほどって、なんのことしゃ?」
年長の太一が聞くと、てんてん坊は言いました。
「実は、旅のとちゅう、夢で、あの山の上に仏さまが現れてな。わたしにおっしゃったんだよ、『話を聞きにおいでなさい』と。何のことやら、分からずに、この村までやって来たんだが、今、やっと、合点がいったよ。仏さまは、山のオニに話を聞きに行けとおおせだったのだなあ」
「オニの話ば聞きに行くだあ!?」
子供たちは大さわぎになりました。
太一は言います。
「だめだ、だめだ、てんてん坊! 食われっちまうぞ! あんだだりっぱなお坊さまが、かなわねかったんだぞ。てんてん坊みでなボロ坊主が、かなうわけ、ねえでねえか!」
「んだ、んだ!」と、ほかの子供たちもさけび、お千代などは泣き出しました。
てんてん坊は、あわてて、子供たちをなだめました。