「おめえさん、おらに説教しに来たんだべ? むだなこったよ。おら、オニだ。オニが悪さするんは当たり前だ。言ってみりゃあ、百姓が畑ば耕すようなもん、坊主が経ば読むようなもんだ。止めることはできねえよ」
「なるほど、道理だな。だが、わたしは、説教をしにきたわけじゃない。ちょっと、たのみに来ただけだよ」
「たのみって、なんだべ?」
「あんたは村の子供たちをさらうというじゃないか? 子供たちはこわくて、夜も、おちおち、眠れず、かわやにも行けずにいる。親たちは心配で、気もくるわんばかりだろう。どうか、もう、そんなことはやめてもらえないだろうか」
「いやなこったな」
にべもありません。
「どうしてだね。あんただって、昔は、かわいい女の子の母親だったと聞いたよ。子を思うおっかさんの心は同じだろうに?」
オニは、かたわらに積んであったそだを、らんぼうにつかみ、どさっと、火にくべました。
ぱあっと、火の粉が上がります。
「んだら、こうすっぺ。おらのなぞなぞに、おめえさんが答えれたら、もう、村に行くのはやめにする。どうだ?」
「ほう。どんななぞなぞだね?」
てんてん坊は耳をすませました。