ねんねん ねんころ ねない子は
甘い水あめ あたりゃせぬ
ねた子にゃ あげましょ 銀の笛
ゆうらり お舟も ゆれてます~
歌い終わって、おまつは目を開けました。
そこは一面の菜の花畑でした。
見ると、花の中を、女の子がかけてきます。
「おっかちゃん!」
「小糸!」
ふたりは、しっかりと、だき合いました。
おまつの目からはなみだがあふれ出ました。
「おっかちゃん、どこに行ってたの。あたい、ずいぶん、さがしたんだよ」
「さあ・・・。おっかちゃんにもわからないんだよ。なんだか、長い、悪い夢を見ていたみたいだよ」
「ふうん。でも、もう、だいじょうぶ。いっしょに、おうちに帰ろう。ばあちゃんも、おとっちゃんも、まっているよ」
小糸が指さす方を見ると、真新しいかやぶき屋根の下で、ばあさまと、夫の米吉が、にこにこと、手まねいていました。
「ああ、いっしょに、おうちへかえろうね」
ふたりは、ぶらぶらと、手をつないで、家に向かって行きました。