コケコッコォー!!!
一番どりが鳴きました。
それはそれは力強い声でした。
家いえのおんどりが、いっせいに、こたえます。
それらは、村に、山に、こだまして、人々に、新しい朝が来たことをつげました。
てんてん坊は、ゆっくり、立ち上がりました。
鉄のとびらも、ほこらも消え、オニのいた所には、ぽつんと、ひとつ、お地蔵さまが残されていました。
お地蔵様のふところからは、愛らしい子供が顔をのぞかせています。
そして、その足もとには、すんだ泉が、こんこんと、わきだしていました。
てんてん坊は、水を、一口、すくって、飲みました。
「ああ、うまい。いい水だ。とうげを旅して来る人たちには、何よりのなぐさめになるだろう」
『こうしてつぐないとうございます』
どこからか、悲しげな女の声が聞こえてきました。
てんてん坊は、しばし、お地蔵様に手を合わせ、それから、うーんと、背のびをしました。
「さあて、急いで帰らんとな。約束を破ったら、あの子たち、坊主になってあやまると言っても、許してはくれまい」
くすりっと、笑って、衣のすそを、ひょいっと、からげ、てんてん坊は、山道を、とっとと、かけおりて行きました。
これでどんどはれ