◆優しい気持ちになれる
そして、一人の少女に似顔絵を描くと、その少女はカードを手にスキップしながらかけていきました。
その後は不思議な服装をした女の子や男の子が次々とやってきてチョコレートを買い似顔絵を描いてもらっていきました。
その子たちの特徴は、まんまるい目、大きな前歯が二本・・・?
そして最後にチョコレートを買っていったお客さん。その瞳は湖のように澄んだ美しい水色でした。一体誰だったのでしょう?
店長さんが店じまいをしようと金庫の中を見てみると、そこにはクルミや小枝、ひまわりの種のようなものが混じっていました。さらに「かんしゃじょう」と描かれた紙に素敵なメッセージも。
それから、4月になり、公園を通りがかった森田さんはそこでバレンタインの似顔絵が描かれたカードを見つけます。そこに描かれていたのはなんと・・・!!
春の訪れを待つ季節。バレンタインのチョコレートを買ったお客さんに似顔絵を描いてあげるという素敵なお店。そこに集まってきたのは人間だけではなかったようです。
網戸いづるさんの春を感じさせる色彩豊かな挿絵とともに、たかどもほうこさんの物語の世界に入ることで、心がとても優しい気持ちになれました。
それはまるで心に穏やかな風が吹く感覚です。そしてなんだかオルゴールの音色さえも聞こえてくるようです。
物語を読むことは作者の心象風景に触れる機会になります。
ぜひ短編童話の世界を楽しんでみてください。