ゴホンゾンサマ(1/3)

文と絵・中西恵子

「じいちゃんおきて。これ、なんてかいてあるの?」
「なんだい、じろう。こんなに朝早くから。どれ、てがみだって?」
じいちゃんはねむそうな目をこすってよみました。

『この犬はトムといいます。
びょうきのわたしのかわりに、おまいりにいくところです。
もし、道にまよっていたら、どなたか、じんじゃにつれていってやってください。
よろしくおねがいいたします』

「じろう、川むこうのじんじゃにつれていっておやり」
「うん、そうする。ありがと、じいちゃん」

中西恵子 について

愛知県新城市生まれ。 武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。 第6回小学館童画新人大賞入賞。 絵本に『かえる』『ヘキサ、もりへいく』『トチノキのひっこし』『じろう、ひとりででんしゃにのる』など(以上福音館書店月間絵本「こどものとも」シリーズ、現在品切れ)、 さし絵に『たからものくらべ』(杉山亮作、福音館書店)、『点字の世界へようこそ』(黒崎惠津子文、汐文社)がある。 「らしさ」を追いかけて、七転八倒中。