「うわあっ」
じろうは、びっくりして、ひっくりかえりそうになりました。
なんと、たくさんの火の玉がごおごお赤くもえて、ぐるぐるまわっているのです。
ほのおのまんなかに、ものすごくこわいかおをした人が立っていました。
とても大きくて、天井までとどきそうです。
かみの毛がさかだち、右手にかたな、左手にまるい玉をもっています。
うつくしいししゅうでかざられたきものが、フワフワおどって、じろうの顔にさわりそうです。
「ご、ごめんなさい。かってにはいったりして。おまいりにきた犬がはいったので、さがそうとおもっただけなんです。ほんとうです。すぐにかえります」
そういったものの、じろうはこわくてうごけません。