しかしハリネズミは、もじもじと入り口で立ち止まっていました。
「さぁさぁ、どうぞ中へ」
サワガニにうながされ、ハリネズミはようやく店の中に入ります。
そしてすすめられるがままにイスにこしをかけました。
「どんなかみがたにいたしましょう?」
「えーとえーと・・・」
ハリネズミはもじもじとうつむき、小さな声でつぶやきました。
「・・・にしてください」
「えっ?」とサワガニが聞き返します。
「ま、まき毛にしてください!」
両目をぎゅうっとつむり、ハリネズミは勇気をふりしぼって注文しました。
「まき毛・・・ですね。かしこまりました」