「おきゃくさんはどちらから?」
とりあえず間を持たせるために、サワガニはハリネズミに話しかけます。
「ぼくはさびしんぼうの森から来ました」
「そこはどんな森なのでしょう」
「とても・・・暗い暗い森です。あまりにも暗いものですから、森のどうぶつたちはみんなおびえてくらしています」
「でもオバケが出るわけではないでしょう?」
「オバケは見たことありません。だけど、何かがいると思わせるほど暗いのです。そこでぼくは、体をちぢこませてくらしているのです」
「そうですか・・・。なら、こちらの森にお住まいをうつされたらいかがでしょう」
「そんなっ、ぼくのようなとげとげしい生きものがいたのでは、みなさんにごめいわくをかけてしまいます!」
ハリネズミはそう言うと、小さくため息をつきました。
「ぼくのようなやつは、さびしんぼうの森がおにあいなのです・・・」