「困ったなあ」
コスモ氏は、「ううむ」と、考え、パっと、ひらめきました。
「そうだ! センサーがお母さんを感知しないようなデバイスを作ればいいんだ!」
コスモ氏は本名を五所河原 濾藻(ごしょがわら こすも)といい、世界でも有名な「五所河原コスモ研究所」の所長です。
濾藻という変な名前は、父親の五所河原 那由他(ごしょがわら なゆた)氏が「よごれた川にはびこる藻(も)のような世の中のきたない物を濾(こ)してきれいにする人間」になるようにと、ものすごい高望みをして、つけた名前でした。
おかげで、コスモ氏は学校時代にとても苦労することになりました。
なぜかって?
テストのたびに、この長い名前を、まず、最初に、答案用紙に書かなくてはならなかったからです!
それは、田中一とか、山川文子とかという、字数の少ない名前に比べて、とても時間がかかるということでした。
それで、小学校、中学校を通して、コスモ少年は100点を取ったことがありませんでした。
このとんでもない名前のせいで、テスト時間が足りなくなり、最後の方の問題が解けずじまいになったからです。
「父さん、どうして、こんなややこしい名前にしたの!?」
うらんだって仕方ありません。
そこで、高校に入ったころから、コスモ氏は、名前を速く書く練習をしました。それも、てってい的に。
五所河原濾藻、五所河原濾藻、五所河原濾藻・・・。
国語も、数学も、理科も、社会も、そっちのけ。毎日、毎日、名前を速く書く練習だけしました。そして、ついには、この長い名前を、シャシャッと、たった2秒で書けるようになったのです!
それからというもの、コスモ少年は100点を、いっぱい、取れるようになりました。成績はいつもトップ! そして、大人になると、博士になって、五所河原コスモ研究所を開くまでになったのです。