「正義のステルスおばあちゃん・・・。いいひびきね」
さっそく、家に帰って、ミシンがけです。
コスモ博士が家に帰ると、ハツさんは、ぬいあがった新しいコスチュームを身に着けていました。白のタートルネックに、白いスパッツ! 胸には、目にもあざやかな、赤いSのマーク!
「な、何ですか、それは!?」
「正義のステルスおばあちゃん、ここに見参!」
「はあ・・・? 」
「どう?」
「はい、よく似合いますよ。で、いったい、何をするつもりですか?」
「弱きを助け、強きをくじくんですよ!」
「なるほど。それは感心ですね」
コスモ博士は、仕方無しに、うなずきました。
「でも、あまり、無理してはいけませんよ。そうだ、自転車用のヘルメットがあったでしょう。あと、ゴーグルも」
「ええ、だいじょうぶ。あなたに心配はかけないわ。さっそく、町のパトロールに出かけなくちゃ! ああ、うでがなる!」
次の日から、ハツさんは、「正義のステルスおばあちゃん」として、悪から町を守る仕事を始めました。
一けん、一けん、家いえを見て回ります。
カラスが、ハンガーや、干し魚などをぬすもうとしたら、「こらあー!」っと、追いはらいます。
風の強い日に、飛んで行ったせんたく物を、どこまでも追いかけて、取りもどしてあげることもあります。
公園では、巣から落ちた小鳥のヒナを、元にもどしてあげたり、ふん水池でおぼれそうになっているアリに、葉っぱを落としてあげたり。
「きょうはね、迷子になっていた子犬を、おうちまで送り届けてあげたのよ」
日が暮れて、家に帰ると、その日にあったことを、一つひとつコスモ博士に話します。
「このごろ、お母さん、すっかり、若返ったね。よかった、よかった」