ところが、ある日、ハツさんが、また、しょんぼりしていました。
「どうしたの、母さん。今日は、元気がないね」
ハツさんは、目になみだを浮かべました。
「昼間、いつもの公園に行ったら、小鳥の巣に、ヘビが上って来ていたの。シッ、シッ! あっちへおいきって、追いはらおうとしたけど、ダメだったわ。小鳥の大事な卵が、みんな、食べられちゃった。親鳥たち、ずっと、ピイピイ、泣いていたわ」
「おや、それはそれは・・・」
「ねえ、コスモ。何か、武器はないの?」
「ぶ、武器ですって!?」
「ええ。レーザーじゅうとか」
コスモ博士はぎょっとしました。
「そんな危ないもの、母さんに使わせるわけにはいきませんよ」
「でも、それじゃ、これから先も、助けてあげたくても、助けられない時があるでしょう。いったい、どうしたらいいの?」
「ううむ・・・」
博士はうで組みをしました。
「ちょっと、考えさせてください」
よく朝、多田君が研究所に着くと、コスモ博士は、もう、何か、ごそごそと、組み立てていました。
「おや、先生、お早いっすね。何を作ってるんすか?」
多田君は博士の手元をのぞきこみました。
「いや、なにね。母が武器をというものだからね」
「武器!? ぶっそうっすね」
「だろう? だから、こんなものを考えたんだよ。ちょっと、そこに立ってみてくれる?」
「えっ!?」
ふりかえった博士の手には、ピストルのような物がにぎられていました。