「あ、ちょ、待って、博士!」
止める間もありません。博士は、カチャッと、引き金を引きました。すると、
バキューン!!
《タダシ! レタス、忘れないでって、言ったっしょ!》
と、かん高い、女の人の声。
「あわわ! ごめん、サっちゃん!」
多田君が頭をかかえたので、コスモ博士は大笑い。
「なんだ、多田君がこわいのは奥さんか!」
「な、何すか、そのピストルは!?」
多田君は目をむきました。
「これぞ、私の大発明、テンテキガンだよ」
「テンテキガン?」
「そう。これを向けて引き金を引けば、相手の苦手な音がするんだ。たとえば、カラスになら、ネコの声。ヘビになら、オオタカや、マングースの声ってぐあいにね」
「ははあ。それで、おれの場合はサチコすか。そんなら、先生は?」
多田君はコスモ博士の手からテンテキガンをうばって、博士に向かって打ちました。
カチャッ! バキューン!!
《こーら、コスモ! 多田さんをいじめちゃだめ!》
と、ハツさんの声。
「ご、ごめんなさい、お母さん!」
今度は、多田君が、お腹をかかえる番です。