一方、世界平和会議の会場は、世界中から集まった科学者や、えらい政治家などで、いっぱいです。満場のはく手でむかえられ、ステージに立ったのは、コスモ博士です。
「えー、お集りのみなさん、それでは、はるばる、白鳥座ケプラー452b星からおいでになったミエンダー・デル・キエール氏をごしょうかいします。ミエンダーさん、どうぞ!」
「おおー!」
人々は立ち上がり、ステージに現れた緑色の異星人に、割れんばかりのはく手を送りました。
「いやあ、歴史的しゅん間ですなあ!」
「生きている間にこの日がむかえられて、こんな幸せなことはない!」
そんなささやき声もまじります。
やっと、はく手が鳴りやみ、人々が席に座ると、ミエンダー氏が、ゆうらり、頭を下げました。
「地球のみなさん、こんにちは・・・」
その時です。
ウー! ウー!
けたたましいサイレンの音に続いて、会場のスピーカーから、せっかちな声が言いました。
「警告! 警告! 大地震です! その後、大津波も来ます! 太平洋に巨大ないん石落下! 間もなく、マグニチュード10!!」
ドドドドーンッ!!
と、すさまじい音!
「メテオとアルマゲドンが、いっしょに、来襲(らいしゅう)! 地球は今日で終わりでーす!」
会場の人々は、もう、講演を聞くどころではありません。先を争って、会場の外に飛び出しました。
ところが、建物を出ると、町は、平おんそのもの。人も車も、いつも通りです。
「メテオもアルマゲドンもありませんね、先生」
多田君が、不安そうに、コスモ博士をみやりました。
「母さんのしわざだ! みんなに向かって、テンテキガンのレベル10を使ったんだ! 大変だ、ミエンダー氏をさらうつもりだ!」
コスモ博士たちが、いそいで、大ホールにもどった時には、ミエンダー氏のすがたは消えていました。