ところが、とつぜんスーパーのゴミぶくろにからまってしまい、うごけなくなってしまったのです。
「たすけてくれぇ」
そのこえをきいて、きてくれたのは、さっきたすけてあげた、あの小さな赤いさかなでした。
「こんどは、わたしがたすけてあげるばんだわ」
赤いさかなは、ツンツンつついて、からまったスーパーのふくろをはずしてくれました。
「たすけてくれてありがとう」
タロウごいは、ほっとして、おれいをいいました。
2ひきはそのあと、しばらくいっしょにおよぎました。
川の中には、いろいろなゴミがおちています。ながぐつやあきかん。ふかいところには、なんとじてんしゃまでしずんでいます。
「川の中って、ずいぶんきたないんだね。上から見ていたときには、わからなかったけど」
「おじいちゃんがいってたけど、むかしはきれいなすんだ水だったんですって。でも、今は、にんげんがゴミをなげこむから、こんなにきたなくなったの。わたしもいちどでいいから、きれいな川でおよいでみたいわ」
小さな赤いさかなは、じょうずにゴミをよけながらおよぎますが、タロウごいはペットボトルやあきかんにぶつかります。
ゴミにぶつかっているうちに、タロウごいは、だんだんボロボロになっていきました。
およぐ力もなくなって、水にながされていくだけです。
「そろそろ、わたし、いかなくちゃ。わたしは川でしか生きられないから、ここから先は行けないの。気をつけてね。さようなら」
そういうと、小さな赤いさかなは行ってしまいました。
川の水と、うみの水がまじりはじめ、ついに川は、うみになりました。
タロウごいも、ゴミといっしょに、うみにながれて行きました。
「うわぁ、しょっぱい!」
タロウごいのぼうけん(2/3)
文と絵・山庭さくら