<その2>
バスのまん中あたりには、ピンとのりのきいた白いぼうしをかむったアナグマのお母さんが、おくるみの中に3びきの赤ちゃんアナグマをかかえてすわっていました。
横にはきっちりまいた雨かさがありました。
一番後ろの広い席には、青々とした葉っぱのついたダイコンをまくらにして、まるくなってねむるヤマネのおじさんがいました。
ヤマネのおじさんは朝までどうろ工事の仕事をしていて、スズランびょういんのうら山にあるおうちにかえるところでした。
頭の下にある葉つきのダイコンは、おじさんがひとばんじゅうはたらいたおきゅう金としてもらったものでした。
「お客さん! バスの中ではボールつきはしないでくださいね」
イノシシのうんてんしゅさんがパリッとした声で言いました。
「ボールがころげたらきけんです。ほかのお客さんのごめいわくになりますからね」
(しかられちゃった)
チャン小熊ねずみの心ぞうがもっとドキドキしてきました。
(またしかられたらどうしよう)
チャン! チャン! チャン! チャン!
(ボールをつくのをやめなくちゃ)
そう思うものの、ボールつきはやめられません。(次のページに続く)