チャン! チャン! チャン! チャン! チャン小熊ねずみー!(5/7)

文・くまもり こぐま  

<その5>
ノンノン、ノンノン、ノンノン、ノンノン、
音を立ててバスは進んで行きます。
くらいくもがたれこめてきました。

ドロロン、ドロロン。
お空のはるか上の方からカミナリの音がなりはじめました。
ポツン、ポツン。
大つぶの雨がふってきました。
ゴオゴオ、ゴオゴオ。
風がつよくふきはじめました。

チャン小熊ねずみの心はお空の色とおなじようなはい色になっていました。
(自分だけなかまはずれだ……)
しかしバスにのっているほかのみんなは、チャン小熊ねずみをなかまはずれにしようと思っていたわけではありません。
一ばん先とうの席でうつむいてすわるチャン小熊ねずみのすがたは、イノシシのうんてんしゅさんからはおひるねをしているように見えました。

はたまた、だいぶ後ろの席にすわるアナグマのお母さんやヤマネのおじさんからは、こぼさないように下をむいて、何かお十時を食べているように見えたので、チャン小熊ねずみをしんぱいするひつようはないと思っていたのです。(次のページに続く

くまもり こぐま について

東京生まれ。旅行誌のライターを経てシナリオを書き、その後子供の頃からの夢であった児童文学作家を志しました。童話コンクールで賞をいただいたことをきっかけに、子供だけでなく、大人の心にも寄り添うような作品を書けるようになれたらと思っています。ほのぼのとしたかわいい作品だけでなく、心に迫るような現実を取り扱う作品も書いてます。どうぞよろしくお願いします。