チャン! チャン! チャン! チャン! チャン小熊ねずみー!(5/7)

文・くまもり こぐま  

チャン小熊ねずみはふと、おばあちゃんが入いんするまえに言ったことを思い出しました。
「どうにもこうにもならない時は、自分にできる方法でせいいっぱいやることね。そうすればそれなりに何とかなるものよ」
(自分にできる方法でせいいっぱいやってみよう)
チャン小熊ねずみは力づよくうなずきました。

チャン小熊ねずみはおよいだことはありません。
しかしおよいだことがないことはおよげないことではないのです。
アナグマのお母さんがおくるみのヒモをしっかりしめなおし、かた手で子供たちをだきよせました。そしてもう一つの手でカサを開きました。

アナグマのお母さんはチャン小熊ねずみを見て言いました。
「今おりたら、もうバスにはもどって来ませんからね。チャン小熊ねずみちゃんも大切なボールをしっかりかかえておりるのよ」
「はい」
チャン小熊ねずみは両手でしっかりボールをかかえました。(続く)

くまもり こぐま について

東京生まれ。旅行誌のライターを経てシナリオを書き、その後子供の頃からの夢であった児童文学作家を志しました。童話コンクールで賞をいただいたことをきっかけに、子供だけでなく、大人の心にも寄り添うような作品を書けるようになれたらと思っています。ほのぼのとしたかわいい作品だけでなく、心に迫るような現実を取り扱う作品も書いてます。どうぞよろしくお願いします。