チャン! チャン! チャン! チャン! チャン小熊ねずみー!(6/7)

文・くまもり こぐま  

イノシシのうんてんしゅさんと、アナグマのおや子をのせたかさのボートが、チャン小熊ねずみをはさむようにやってきました。
「お客さん、およぐのが上手ですなあ」
「チャン小熊ねずみちゃん、できるじゃない! そのちょうしならばスズランびょういんまで行けるわ!」

(せいいっぱいできることをやれば、何とかなるんだ)
チャン小熊ねずみは、いつしかえがおになっていました。
雨もやみました。
チャン小熊ねずみの体は川下に向かってスイスイと進みました。

イノシシのうんてんしゅさんがよこをむいてねるような形になりました。
そして両うでを開き、進行ほうこうのかたに耳をのせ、もうかた方の手で水をかきました。
それからのばした足で水をはさむようにスーッスーッと進みました。
「よこおよぎ。伝とうてきなおよぎ方です」

ヤマネのおじさんが、カエルがおよぐような形で足をうごかしました。
「ひらおよぎ!」
アナグマのお母さんがカサの上であおむきになって、両かたを回し、足をバタバタさせて言いました。
「せおよぎー!」
カサにのったおくるみの中のアナグマの子どもたちが、キャッキャキャッキャとわらいました。(次のページに続く

くまもり こぐま について

東京生まれ。旅行誌のライターを経てシナリオを書き、その後子供の頃からの夢であった児童文学作家を志しました。童話コンクールで賞をいただいたことをきっかけに、子供だけでなく、大人の心にも寄り添うような作品を書けるようになれたらと思っています。ほのぼのとしたかわいい作品だけでなく、心に迫るような現実を取り扱う作品も書いてます。どうぞよろしくお願いします。