「オーイ、どこまでにげる気だい、オイボレハト君!? むだなていこうは止めて、さっさと、おれたちのおやつになりたまえ!」
ガアガアと、カラスはばかにします。
「どうしよう、このままじゃ、ほんとに、おやつにされてしまう・・・」
追いつめられたオイボレは、思わず知らず、駅へと向かっていました。
「あっ、あれは!」
オイボレは、力をふりしぼって、ペデストリアン・デッキにつっこんで行きました。
カラスたちは、カカカッと、笑いました。
「ばかだなあ。同じ手がおれたちに通用するもんか!」
カラスたちも、あらあらしい羽音をさせて、オイボレを追って来ます。
「オイボレハト君、今度はトンビの群れの中にでも、つっこむつもりかい?」
カカッと、カラスが笑った時です。
「ムギャー! ぼくのところにだよ!」
と、1羽目のカラスに強れつなネコパンチが飛びました。
実は、オイボレが飛び立った後、チェシャは気になって、しばらく、その行方を目で追っていました。
ハトの姿を見失ったので、その場を立ち去ろうとした時、チェシャのよく聞こえる耳が、町のどこかで、カラスが大さわぎしているのをとらえました。