「結那、これからお母さんと二人だけで、新しいお家でくらすことになってもいい?」
「お父さんは?」
「・・・しばらく会えなくなる、かな」
しばらくって、どのくらい? 結那がいい子でいたらいいのかな。
そしたらお父さん、お母さんにこわいことしなくなる?
結那は、パンダパンをじっと見つめます。
悪パンダになったお父さんは、こわいな。
「遠いところに行くから、アンジさんともさよならしないといけなくなるけど・・・」
結那が顔を上げると、アンジさんはさみしそうにほほ笑みました。
転校しちゃうことになるのかな。知らない子ばかりのところに行くの、こわい・・・。
でも・・・。
「ごめんね。でも、お母さん、結那とはなれたくない。だから、いっしょに来て!」
緊張したお母さんの声に、結那は、お母さんの強い思いを感じました。
結那の目に涙がにじみます。
でも、お母さんといっしょだったら、がんばれる。お母さんがこわい思いしないなら、お母さんがいつも笑っててくれるなら・・・。
結那は、お母さんをぎゅっと抱きしめると、何度も、何度もうなずきました。
おわり