なんだ?
くらやみの中で目をこらすと、ぼんやりとすがたがうかびあがってきた。
とてもきれいな色の生きもの、チョウだ。
「やあ、いらっしゃい」
ぼくはなかまがふえてうれしかった。
でもすぐにへんだなとおもった。チョウの顔がこわばっていたから。
「きみ、だいじょうぶ?」
「ねえ、あなた。おねがいよ。わたしをここから出してくださる?」
チョウがふるえる声でささやいた。
「え、きみもねばる糸きらい?」
ぼくはかなしくなって、きいた。
「この世で一ばんきらいよ。ああ、おなかがすいてたまたまとんだら、これだもの。やっぱり朝までまてばよかったわ。きゃっ!」
チョウの青い羽のうしろから、モックがゆっくりと歩いてくるのが見えた。
「きみもおきたの。きれいなチョウでしょう。おなかがすいているんだって。なにか食べさせてあげられないかしら?」
「バカいうない。そいつはおれのごはんになるのさ」
「え、なんだって?」
おどろくぼくにモックはあきれるようにいった。