10 小鳥になったトト
「アディ、ぼくだよ」
トトによばれて、アディはわれにかえりました。
そこには白い小鳥がいました。
ちっともペンギンには見えません。
なのに、アディはそれがトトだと分かりました。
「トト!」
アディはトトをだきしめました。
なみだがあふれて、止まりません。
「ごめんね、トト! あたしのせいで」
「どうしてあやまるの、アディ?
ぼくは、今、神様の庭にいて、とても幸せなんだ。
ほら、見てよ。神様は、ぼくに、こんなにすてきなつばさをくれたんだよ。
ぼくがペンギンだったころ、ちっとも大きくならなかったのは、こんな風に、神様から、つばさをもらうためだったんだね。
今のぼくは、自由に、空を飛べるんだ! 最高だよ!」
「ちがうよ、トト! 飛ぶより、泳ぐほうが、ずっと、楽しいんだよ。
ペンギンでいるって、そりゃあ、すばらしいことなの!
それを教えたくて、どうしても、あんたをつれもどしたかったの。
ねえ、神様の庭なんか、にげだして、あたしと北の海に行こう!
海はすてきだよ! おいしいエサでいっぱいだし、氷の島でひなたぼっこすると、そりゃもう、気持ちがいいの。あたしたちはペンギンでいるのが、一番、幸せなんだよ!」