モカは、おばあちゃんの家へ飛び込んだ。
「ビッグニュースよ!」
おばあちゃんとおじいちゃんは、今日もケンカの真っ最中だった。
「何度言ってもテレビをつけっぱなしなんだから、いやんなっちゃう」
「おまえの料理は味が薄くて食えん」
トゲトゲした空気をかき分けるように、モカは叫ぶ。
「二人とも! 出かけるよ!」
「いったい、どこへ?」
「Y字路の森へ。さぁ、早く早く」
Y字路の森では、この間と同じようにトナカイが待っていて、道を開けてくれた。おばあちゃんとおじいちゃんは、目を丸くするばかり。転んだ家を見て、さらにびっくり。
「ようこそ、みなさん!」
一階の窓から、仙人めいた白髭のおじいさんがのぞいている。
キョトンとするモカに、仙人が親しげに笑いかけた。
「ぼくだよ、モカちゃん。時間戻しの実験、どうやら失敗だったみたい」
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