「みんなのは、まだいいんじゃないですかい? 『とらのいをかるキツネ』なんてひどいもんですぜ。なんでも、いきおいをもつ人にたよって、いばる人のことらしいんですがね。いつ、おいらがとらさんの力をたよって、いばったっていうんですかい。人間が勝手にお話を作っただけじゃないですかい」
キツネのコンキチは、だんだんこうふんして、つり上がった目をますますつり上げました。
「そういやあ、いじめっ子のけんたくんといっしょにいるしゅんすけくん、けんたくんといっしょのときだけ、いばってますぜ。けんたくんのいないときは、こそこそしてるのに。『けんたのいをかるしゅんすけ』っていうのはどんなもんです?」
「そうよね。人間だって、同じ人間の名前のほうが、わかりやすいわよね」
木のえだにいたリス子がさんせいすると、
みんなも「そうだ。そうだ」とはく手したので、森の木が、ざわざわゆれました。
「ぼくは『たぬきねいり』っていうのがゆるせません。都合の悪いときなどに、ねたふりをすることらしいですが、ぼくはそんなひきょう者じゃありません。たしかにぼくはおくびょうで、おどろいたときに、ショックでたおれて少しの間、気をうしなうことはありますよ。でも、それとこれとは、まったくちがうと思いませんか?」
いつもはのんびりやのタヌキのポンすけも、ゆう気をもって思い切って発言しましたが、その顔は真っ赤でした。