『わたしのぼうし』
佐野洋子 作・絵
ポプラ社
2022年6月22日刊
◆思い出つまった帽子が
今回ご紹介するのは『100万回生きたねこ』で有名な佐野洋子さんが初期に創作、講談社出版文化賞絵本賞受賞作品です。
いつも仲良く一緒に遊んでいる二人の兄妹。
お兄さんは青いリボンのついた帽子、主人公のわたし(以下、「少女」)は、赤い花のついた帽子を持っていました。
どちらも少し古くて汚れています。
なぜなら、お兄さんとトンボとりに行った時も、動物園やデパートにお出かけした時も、どんな時もその帽子をかぶっていたからです。
その帽子にはその時のいろんな思い出がいっぱい刻まれていました。
でも、ある時、おばさんに家に向かう途中の汽車の中で、少女は窓から風にあたろうと頭を出した瞬間、帽子が飛んで行ってしまいます。
少女は泣き出し、お父さんやお母さんのどんな慰めでも心が晴れませんでした。
次の日お父さんがお兄さんと少女に新しい帽子を買ってくれるのですが、少女はその帽子をかぶらず、首のうしろにぶらさげたまま。
お母さんが何度かぶせても、またすぐうしろにずらします。
「だって、わたしのぼうしのようではないんですもの」少女は思います。
それから、しばらくしてある出来事をきっかけに少女の心に変化が訪れます。
続きはぜひ絵本で読んでみてください。(次ページに続く)