幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その2

◆読みやすくなるかどうか

文部科学省が定めている、小学校6年間で読み書きができるように指導する漢字のことを「教育漢字」と言いますが、これが全部で1026字あります。このうち1年生で指導する漢字は漢数字を含めて80字(詳しくはインターネットで「学年別漢字配当表」を検索)です。1年生はまずひらがなを習うので、カタカナや漢字の学習が始まるのは2学期からです。

ひらがな・カタカナ・漢字の表記の選択は表現に関わることなので、基本的には作者の自由です。既習の漢字でもあえて使わずにひらがなで書いてもかまいません。また、固有名詞などで習っていない漢字を使う場合はルビを付ければ大丈夫です。1年生向けでも画数の少ない漢字がルビ付きで使ってある本もあります。

大切なのは、漢字を使うことで読みやすくなるかどうか、わかりやすくなるかどうかです。子どもは読みにくい本やわかりにくい本を我慢しながら読むなんてことはありませんからね。

子どもにとっての読みやすさ、わかりやすさを第一に考える。子どもたちに読んでもらうには、こういう心がけが必要です。

野村一秋先生のインタビュー記事もぜひご一読を!
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(1/3)
https://x.gd/etXKc
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(2/3)
https://x.gd/oTLHR
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(3/3)
https://x.gd/sq5xe

野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。