春を泳ぐヒカリたち(6/11)

文・高橋友明  

顔中、絆創膏(ばんそうこう)だらけ、まくらにうずめると痛かったが、そんなの気にはならなかった。悲しみと後悔の方がよっぽど痛く胸をえぐった。
えんえん、えんえん、止めどもなく泣いた。
うずめたまくらの向こうに真っ暗闇が見え、ぼくはその底のさらに深い闇を目指して沈みつづけた。
真っ暗闇のなかで、ぼくは嫌な気持ちにおそわれた。

――みんな全部、なくなってしまえばいいと思った。べにちゃんの恋心もぼくの片恋も、なにもかも、なくなってしまえばいいと思った。

高橋友明 について

千葉県柏市在中。日本児童教育専門学校卒業。 朝昼晩に隠れているその時間ならではの雰囲気が好きです。やさしかったりたおやかであったり、ピリッとしていたりする。 同様に春夏秋冬や天気や空模様も好きです。 そうしたものを自分の作品を通して共感してもらえたら幸いです。