お釈迦(しゃか)さまとイエスキリストさまと閻魔(えんま)さまが、ぼくを取りかこんでいた。三者は、ぼくを中心とした正三角形の各頂点に立っている。どうあってもぼくを逃がさない、という強い意志が感じられた。
さらにそのまわりには、鬼や妖精や人間が群集(ぐんしゅう)となって取りかこみ、ワーワー、ギャーギャーと、ぼくになんだかわからない――しかし非難だとははっきりわかる――うめき声を上げていた。
遠くに針の山がそびえ、空は赤黒く広がっていて、どれもぼくを見下ろし、にらんでいた。
お釈迦さまがぼくの頬をひっぱたく。
イエスキリストさまがぼくのお尻をけっとばす。
閻魔さまがぼくの舌をひっこ抜く。
そして、三者はドスン! ドスン! ドスンと順繰りにいい放った。その声たるや、隣に雷でも落ちたみたいな大きさだ。