春を泳ぐヒカリたち(7/11)

文・高橋友明  

ぼくは何度も何度も、頭をひっぱたかれ、お尻をけっとばされ、舌を抜かれた。
わーっ!
声を出してぼくは起き上がった。
汗をびっちりかいていた。
ガラス窓を見て、確かめる。ゆれる群青色。
ここはぼくの部屋だ。
ぼくは夢を見ていたのだ。

頭とお尻と舌が痛いような気がした。もちろん何事もないが、どうしたって、感触が残っている。
夢の中のことを思い出すと、ぼくはまた泣いた。今日、三度目の涙。
『おまえは小竹紅緒に嫌われたのだ』

その通りだと思ったから。

高橋友明 について

千葉県柏市在中。日本児童教育専門学校卒業。 朝昼晩に隠れているその時間ならではの雰囲気が好きです。やさしかったりたおやかであったり、ピリッとしていたりする。 同様に春夏秋冬や天気や空模様も好きです。 そうしたものを自分の作品を通して共感してもらえたら幸いです。