・・・ウォー、タ・・・。
遠くで何かきこえた気がした。きこえるかきこえないかの、すれすれでそれは耳に入る。
本当にかすかに。空耳だろうか?
しばらくするとまたきこえる。
・・・おおー、・・・い・・・お。
少しずつ大きくなっていて、ぼくは耳をかたむける。
なぜだかその音は、とてもなつかしい感じがする。忘れてはいけなかったもののように思う。
それが、人の声らしいとわかった瞬間、はっきりとこんな声がきこえた。
「おーい、たけちゃん! やっぱりここだと思ったわ!」
視線を動かすと、黒いスニーカーが見えた。
見上げると、目の前にべにちゃんが立っている。
とてもびっくりした。すごく驚いた。
ぼくは思わず、ピョコンとバッタが飛び跳ねるように立ち上がっていた。
「ど、どうしたの、べにちゃん!」
「どうしたじゃない! それはこっちのセリフよ! みんな大騒ぎしているわよ、いったい今までなにをしていたの!?」
「今まで・・・、あ、あれ、もう夜なの?なんで、、」