少女は言いました。
「私はリムニー。この湖の主人です。おまえこそ、何者です。私の住まいをけがすとは!」
王子は、しばらく、あっけにとられていましたが、やがて、心を決めて、答えました。
「私はさすらいの王子ディドー。湖があなたの住まいとは知らず、長旅のよごれを落としてしまった。どのようにわびれば許してもらえるのか?」
妖精などをおこらせたら、どんな目に合わされるか分かりません。
「さすらいの王子?」
リムニーは、しばらく、王子を見つめていましたが、
「本来ならば、水に引きずりこんで、すぐにでも、殺してしまうところだが、一度だけ、チャンスをあげましょう」
と、言いました。
「私の望むとおりになさい。そうすれば、おまえは命が助かるだけでなく、おまえ自身の王国を持つことができるでしょう」