美しい秋の日のお話です。
その丘は台形の形をしていて、登っていった上は野原になっていました。
野原はぐるりと一周、いく本かのポプラの木で囲まれています。
そして野原の真ん中には一本だけ三角ツリーの形をしたイチョウの木がありました。
イチョウは、せたけがポプラよりも大変小さく、大変美しかったので、ポプラが騎士(きし)でイチョウはお姫様という具合に見えました。
イチョウは物静かな性質で普段は自分から誰かに話しかけることはあまりなかったのですが、近頃気がついたことがあり、それがどうしても気になって周りのポプラたちに尋ねました。
「ポプラさん、あなた方はいったいいつ眠っていらっしゃるの? わたくしが寝付く前には起きていて、わたくしが目覚めた後はみな様すっかり起きていらっしゃいますわ」
風が丘の上を透き通った青色を乗せて通りすぎます。
野原はくすぐられているみたいに笑いました。
イチョウの金色に染まった葉もチカチカと輝きながら、土の上にふりそそいでいます。